天女(てんにょ)
仏教の 天女(てんにょ)は、天界に住む美しい女性の姿をした存在として描かれます。
仏教の開祖であるお釈迦さまが亡くなる場面を描いた仏画 涅槃図(ねはんず)では、
お釈迦様の母、摩耶(まや)夫人 が天女たちと共に描かれる場面がございます。

仏画の中心に立つのは如来(にょらい)や菩薩(ぼさつ)ですが、その世界観を視覚的・感覚的に表す役として、天女は欠かせない存在かもしれません。
ご縁があり、鹿児島県南九州市の知覧特攻平和会館(ちらんとっこうへいわかいかん)を訪れました。
生きているうちに一度は訪問したいとずっと願っていた場所です。

入口を入った正面に展示されている 知覧鎮魂の賦(ちらんちんこんのふ)という 約3~4メートルほどの大きな絵画には、
燃える特攻機から隊員の魂を天女が救い出し昇天させる姿が描かれていました。
目にした瞬間に魂が揺さぶられる、凄い力を持った絵画だと思いました。
特攻とは、爆弾と片道だけの燃料を左右に積んだ飛行機に、パイロットが乗ったまま、敵の船に体当たりして沈没させようという攻撃のことです。
帰りの燃料はない・・・パイロットは必ず戦死することになります。
沖縄特攻作戦は、第二次世界大戦末期の1945(昭和20)年3月から7月まで行われました。
この作戦で亡くなった特攻隊員は17歳から32歳、平均年齢21.6歳 全員で1036名でした。
今の高校生や大学生と同じ世代の人々が特攻作戦で命を失ったのです。

この資料館には特攻隊員が出撃前に家族や友人に宛てた遺書や手紙が展示されています。
遺書や手紙を読ませて頂き、
若き特攻隊員1036名の1036の貴重で大切な人生のドラマを知り、
爆弾を装着し敵の船に体当たりをする、という命の尊さ、尊厳を無視した戦法は絶対とってはならない、
また、このような悲劇を生み出す戦争を絶対に起こしてはならないと感じました。
母への手紙 が圧倒的に多いと、語り部の方によりお話されていました。
平和会館の正面に展示された絵画の天女は、
命を落とした若き特攻隊員に対し、天から降りてきて命や豊かさをもたらし、すべてを包んで癒やしてくれる母のような存在なのかもしれません。






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