横壁 勢至菩薩(せいしぼさつ)・観世音菩薩供養祭
お彼岸の中日、横壁にある勢至菩薩・観世音菩薩供養祭ございました。
このお堂は横壁小倉堂・横壁堂といわれ、三原郷三十四観音札所の二十八番・二十九番になります。
観世音菩薩は 観音様 と親しまれ、現世の苦しみから人々を救ってくれる存在として古くから信仰されている身近で有名な仏様です。
野外に建てられた巨大な観音像は強烈なインパクトで、普段信仰を持たない方にも何かを訴えているかのようです。
では、勢至菩薩(せいしぼさつ)はどんな菩薩なのでしょうか?
勢至菩薩(せいしぼさつ)と観世音菩薩は良く似ております。
勢至菩薩が単独で祀られることは稀で、観音様と対になって阿弥陀如来の脇侍として控えております。
単独で祀られない勢至菩薩は、観音様に比べどうしても知名度は低いようです。
勢至菩薩(せいしぼさつ)の特徴
勢至菩薩は頭にかぶっている宝冠に水瓶(すいびょう)をつけています。
水瓶は花びんのような形をしており、中には人々の願いを叶えてくれる水が入っています。
手には何も持たず合掌していることが多いようです。
勢至菩薩(せいしぼさつ)と観世音菩薩とは前世で兄弟だった
勢至菩薩と観世音菩薩は前世で兄弟だったと語られています。
兄は観世音菩薩、弟は勢至菩薩です。
この兄弟が幼くして両親と死別した上悪党に騙されて山奥に置き去りの憂き目に遭いました。
無情にも時ばかりが過ぎ、遂に兄弟はやせ衰えていきます。
幼い二人は死を悟るのでした。
ここに来て、弟は自分の運命を嘆きます。「僕らが何をしたっていうんだ」と。
兄はひとしきり弟の言葉を聞き、こう言いました。「そうだね。僕も同じことを思った。でも、この運命を受け入れよう。この苦しみを覚えて生まれ変わり、苦しい人たちを救おう」
この兄の言葉が、傷ついていた弟の心を溶かし、癒します。
「一つ学んだよ兄さん。誰かに苦しみを受け入れられて救われることもあるんだね」弟もそう言って、兄弟は若い命を終えました。
この時の兄が慈悲を象徴する観世音菩薩、弟が智慧を象徴する勢至菩薩の前世とされます。
勢至菩薩と観音菩薩は得意分野が違う
勢至菩薩は智慧の力で人々を悟りに向かわせるよう働きます。
一方、観音菩薩は人々のニーズに合わせて変化することで救済するという方法が専門です。
勢至菩薩 | 智慧明瞭、家内安全、除災招福のご利益があるとされています。
午年の人々を守る守護本尊であり、午年に生まれた人々の開運、厄除け、祈願成就を助けるともいわれています。 |
観世音菩薩 | 相手に応じて33の姿に変えて苦しむ私たち救済します。
全ての人々を救おうと、相手の性格や仏さまの教えを聞ける器に合わせた姿になります。 「千手観音菩薩」「十一面観音菩薩」「馬頭観音菩薩」が有名です。 |
28・29番の横壁小倉堂の勢至菩薩、観世音菩薩に手を合わせてはいかがでしょうか?
住所 群馬県吾妻郡長野原町横壁96-1
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